**前世の記録 No.005(後編)**

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前回からの続きです。

貴族と言うアカデミックな世界からの誘いは、あなたにとって願ってもない事で、なんとも誇らしいものでした。

しかし実際は想像していた優雅で気品ある貴族の暮らしとは裏腹に、貴族達のドロドロした内情を目の当たりにするようになり、心が萎えてきてしまいます。
貴族達は音楽を純粋な芸術と捉えるのではなく、自分たちのステータスの為に音楽家を扱っている事にかなりのストレスを感じるようになりました。

元々あなたは生真面目な性格で、音楽に対してとても神聖なものと思っていましたので、その生活に徐々に疲れて行ってしまいます。

何年かを屋敷お抱えの音楽家として過ごしていましたが、やる気がなくなってしまった為か、自分の実力を発揮することが出来なくなってしまい、雇い主の意向に合わない事になって行きます。そして最後は、今でしたら契約解除か解雇のようにしてその屋敷を後にします。

その後、失意のうちに都で一人暮らしをするのですが、金銭的な余裕が無くなって来た為に故郷に帰る事も考え始めます。
実家に手紙を書くのですが当初返事が全く返ってきません。
仕方なく町の音楽関係の仕事でなんとか生活を続けていました。

そして何通か書き送った手紙にやっと返事が来ました。
そこには職人だった父親が病に倒れ、まだ腕も未熟な兄では家業を継ぐのが厳しいという事、生活が苦しくなってしまった事が綴られていました。

その手紙を読んだあなたは故郷に帰る決心をします。
今まで世話になった寄宿舎や音楽関係者、教会の司祭、町の人に心からの礼を述べ、友人や町の人々に見送られ故郷に帰ります。

それと、思いもよらない事でしたが、以前自分を選んでくれた貴族から、ほんの気持ち程度の餞別が贈られました。
この時、あなたは人の心や想いも、決して捨てたものではないのだなと思う様になります。


さて、実家に戻るとご実家は苦境に陥ってしまっていたのですが、そんな状況とは裏腹にご自身の心は晴れ渡っています。
なぜなら今まで関わって来たドロドロの音楽の世界から離れ、今度は自分の意志で音楽の世界に「帰れる」と思うと心が弾むのです。

故郷に戻ってすぐ、残念な事に父親は他界します。
その父親はウィーンに行った息子の身をいつもを案じていた事、そこでの音楽の世界を少しなりと知っていた事からも大変気に掛けていた様です。

家族からは暖かく迎え入れてもらえますが、結婚を誓った彼女は既に別の町に嫁いだ後でした。
その後、兄は懸命に働き腕を上げて家業を以前と同じとは行かないまでも立て直して行きます。

一方音楽の世界から離れる事ははしたくないと思っていたあなたも、家業が軌道になり始めるとプラハでの音楽活動を再開する事にしました。

帰って来た時にはさすがに直ぐには楽器を手にしたり楽譜に目をやる気力はありませんでした。
それでも自分の心の深いところに眠る音楽への想いは、決して消えることなく灯されたままでしたので、意志が固まると直ぐ、光を増してくるのでした。

プラハに戻り、音楽活動を再開すると、不思議と想いもよらない助けの手が様々なところから差し伸ばされてきました。
ただ、その声は以前のアカデミックな世界からの誘いではなく、もっと自由で庶民的な場所からのオファーでした。

しかし結果として華やかな宮廷での音楽活動よりも、自分を自由に表現出来る新しい音楽生活に幸せを見つける事になりました。

その後結婚もします。
男の子が2人生まれ、一人は声楽の道に進みます。

この人生は長い目で見れば幸せな一生だったのではと感じました。

しがらみなく自分の思う通りの人生を送れたのも、結果として自身の選択に間違いが無かった事の証でもあったのではないかと思います。

この人生、最後まで音楽の世界で生きる事となりました。
享年は50代後半です。

今回のお話はここまでです。










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by farmemory | 2018-03-16 00:24 | ・前世のお話 | Trackback | Comments(0)

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